1 付箋紙の記憶 

~時は2965年。 若き王様が夜中に部屋を飛び出して、 ”妖精”と夜な夜な他愛もないお話しを。 そんなおはなし。 …雨季に入る少し前、闇夜を半月が、首都ヤース郊外にあるコーラス城を白く淡く照らしていた。 とはいうものの、今日の二人には、そんなロマンチシズムや感傷に...

2 付箋紙にない、記憶と現実

ウリクルより一足先に、城の自室へ戻ったコーラスは、入り口の前に一人経つ警備の騎士に、自らそっと声をかけた。 「また寝ちゃうよ。悪いね、今日はありがとう。」 そしてコーラスは光沢のある白い革靴を脱いで、向きを揃えてから畳敷きの広大な部屋に入っていくのだった。 コーラスの...

3 イフリートとアイビス

…寝ずの番がようやく終わったイフリートは、コーラスとお供のトリオ騎士を最敬礼で見送ったあと、暫くしてからやってきた交代の同僚に、昨夜の事を簡単に申し送りした。 「ひとまず異状はみられませんでした。陛下も良くお休みだったと思います。」 それは本当ではないけれど。 イフリー...

4 イフリートの勘違い

”マスターの次の夜勤までもう、あと4日しかない…!” ある朝のアイビスは、今日も移動しながら、どこか上の空だった。 彼女の主人であるイフリートは、彼の主君であるコーラスにとんでもない提案をしようとしている。 ここ2日ほどはその話もしなくなったので、内心諦めたのかと淡い期...

5 ついにその時が

朝、それもコーラス本人からではなく、周りの騒動から彼の結婚話を聞かされたウリクルは、その直後はどうしようもないほどのショックで打ちひしがれそうになったけれども、次第にそうそう悲しんでもいられない状況になって来てしまっていた。 城内に勤める多くの者たちがニュース以上の情報を求...

6 真夜中の悲鳴

~時計はその歩みをやめそうにない。。 街の明かりも今は煌くのをやめて、ひっそりと寝静まっている。 王様は既に出かけてしまったのに、 "妖精"は未だに眠っている・・・ ウリクルのベッドの上に置かれていたモスグリーン色の万年筆~恐らくコーラスが伝言の...

7 真実は碧色(みどりいろ)

コーラスがウリクルに困惑していたのは、 彼女が突然絶叫を上げ苦しんでいたからでも、 それが何なのか分からないけれども、何かでうなされながら、自分を引き止めようとして鉄拳を振るおうとしたことではなかった。 もっと信じられない事が、彼の目の前で起きていたのだった。 「…眼...

8 夜明け前

…いま、何時なんだろう。 何故だろう、一番知りたくない事が、コーラスの頭を過ぎってしまっていた。 うさぎの時計は、自分の背後にある。 目の前と言うか、僕の腕の中で小さくなっているウリクルに聞けば、教えてくれるだろうが… でも、どうして、それが気になるのだろう。 時には...

9 廻り出した運命

…駆け上がってしまえばすぐに出口に辿り着くだろう折れ階段を、二人は並んで、歩いて上っていた。 コーラスが左手に風呂敷包みを持ち、反対の手は、ウリクルとしっかり繋がれていた。 「マスター。今度は、いつ会えるんでしょうか…」 意識したか細い声が、広い図書室に小さくこだまし...

真夜中の会話~あとがきについて

今回改訂にあたって、 後書きがえらく長くて困惑しました (って自分で書いたんだろうが^^;) そこまでご興味ある方いらっしゃるとは思えなかったので削除しようかとも思ったのですが、 まぁそれじゃあ当時の記録としても味気ないか。とも思い一部文章を直してgoogleドキュメントにし...